物理のど素人が、観測データ「だけ」から放射線・放射能の分布を考える

(以下は全てbukuburi個人の推定であります。)

最近いろいろ放射線量をいじっていて、だいぶ傾向がわかってきました。
サイトはこちら
http://book.daa.jp/radiationgraph.html

以下、物理学なんて大学以来まるで触ってないど素人が、
観測データ「だけ」から考える放射線放射能の分布についての全体的な考えです。

先に考えた結論から書きます。



1.放射線量は、一日あたり0.87倍程度に減っていくと考えられる
2.福島第一原発からの距離が2倍になると、放射線量は、平均して、約 1/8 になると考えられる

以下、詳細です。式は理系向けです。ご了承ください。


1.時間に対する相関

普段と違い、縦軸を対数にしてプロットしてみました。縦が自然対数であることに注意してください。

福島県

【茨城・宮城県

【全国】

以上の3つのグラフを見ると、以下のことがわかります。

1−1.全体として、直線的に減少している傾向があることがわかる
1−2.ほとんどの地域で、3/15〜16に明らかな増加がある
1−3.山形・北海道・茨城・埼玉などは3/21付近で明らかな増加がある

1−1から、基本的には3/15または一部の時刻に大量に出て、それが空気中を未だに漂っているが、半減期にしたがって&雨などで流されて減少しているように思えます。

たとえば、福島県福島市県北保健福祉事務所の3/17以降のデータを直線回帰すると、

ln(y)= -0.1388*T + 2.6705
(yは放射線量率(microSv/h)、
 Tは3/17 0:00からの時刻を日単位に換算したもの)

白石市東北電力白石営業所でも、

ln(y)= -0.1375*T + 1.2830
(yは放射線量率(microSv/h)、
 Tは3/17 0:00からの時刻を日単位に換算したもの)

となります。
立ち上がりの少ないきれいな地点を選んだのもありますが、傾きが酷似しています。

この、「-0.138前後」という傾きを考えてみます。
もし、降り注いだ放射性物質が全てヨウ素131で、しかも雨や降下などで全く減らないと仮定したときは、半減期が8日であることから、
傾きが、ln(1/2)/8=-0.086程度になると思われます。

また、Cs137は、半減期が30年であることから、単位時間あたりの崩壊量が少なく、放射線量が少ないのでないかと思われるので無視できると、「仮に」仮定します。

すると、下記の式が成り立ちます。


ln(新しくその地点にやってくるヨウ素131からの放射線量)
+ln(残っているヨウ素131の前日と当日の放射線量比)
−ln(その地点から(川や土や他の地点に)消えたヨウ素131の放射線量)
= -0.138

ここで、第1項は、仮に3/15以降大規模な放出がされていないと「仮定」して、3/17以降は0であると仮定します、
また、第2項は先程の通り、-0.086です。

そこで、上記仮定を全て真とすると、下記式が成り立ちます。


−0.086
 −ln(その地点から(川や土や他の地点に)消えたヨウ素131の放射線量)
  = -0.138

つまり
ln(その地点から(川や土や他の地点に)消えたヨウ素131の放射線量)
 = -0.052

となります。
以上から、下記の推定をしています。


放射線量は、一日あたり
e^(-0.138) ≒ 0.871倍に全体としては減っていくと考えられる

また、

(様々な仮定を導入すると)
空気中のヨウ素131は、一日あたり
e^-0.052 = 0.949倍に 減っているのではないかとも推定できる(ちょっと自信なし)


と思っています。

ただ、3/21にちょっと立ち上がったのがよくわからないのですね・・・弁をあけたとかそういうニュースありましたっけ?



2.距離に対する関係

下記の通り、福島第一原発との距離が200km以内の地点は、距離と放射線量が有意に相関があります。下のグラフをご覧ください。
(両対数グラフです。ご注意ください。)


時間がなくて回帰直線を書かなかったのですが、目視するに、200km以内の地点のみを抽出したときの回帰直線の傾きは、

だいたい-2.8〜-3.1程度

ということになります。
つまり、

距離が2倍になると、
放射線量は、平均して、約 2^(-3) = 1/8倍 になると考えられる

いうことです。

想像以上に、距離は効いていますので、30kmと40kmと50kmは10kmずつしか差がないじゃねーかと考えるでなく、きちんと距離の比に応じて減衰する可能性が高いことを踏まえられるとよいと思います。

(もちろん風向きが影響はします。)



3.可視化してわかってくること

このように可視化すると僕のようなど素人でも概観できて、少し安心できるようになります。過度の安心をしたいわけではないですが、心配な方は、下記の他のグラフなどもみて考えてみられると良いと思います。

https://sites.google.com/site/radmonitor311/home
http://atmc.jp/

p.s.水も始めました。atmc.jpで十分という気がしてしまいましたが(汗

http://book.daa.jp/radiationgraph_water.html